京都笠取国際射撃場
Kyoto KASATORI International Shooting Range & Firearms Co.,Ltd
京都府公安委員会指定 (社)全日本指定射撃場協会会員 (社)日本クレー射撃協会会員 (社)日本火薬銃砲商組合連合会会員
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ある男のある一日_in京都笠取国際射撃場


週末の朝。
家の玄関を出た瞬間、近所の人にも 「今から鉄砲撃ってきますわ」という挨拶もタブーとされるこの世界では、黙って、すばやく車に愛銃と装弾を積み込む。
妻の「また鉄砲撃ちに行くのぉー(詳しくは、この天気の良いせっかくの週末に子供を残して、自分だけ黙って遊びに・・・という言葉にない前置詞が付く)」 という冷ややかな視線、ため息と後ろめたさを感じながらも、
「俺は遊びに行くのではない。射撃をしに行くのだ!」 と心の声を大にして車が滑り出す。
「他(ほか)の奴らの趣味と同じにしないでくれ!」
戦場に行くような男のロマンを掻き立てるのが射撃である。

途中、和気あいあいのアベックや家族サービスに出かける車がすれ違う。
それを横目に「チェッ」と舌打ちしながらタバコに火をつけ、自分の世界にひたる音楽だけが車内に流れる。

車が都会と人を避け、山の奥へと進むと笠取射撃場はそこにある。

「主よ、私に力をお与え下さい。神よ、あなたを信じます。勝利をお与え下さい」
「神よ、手と指に戦う力を与えたまえ」 と映画の主人公にもなった気分で、満射スコアと微笑ましく勝利に満ちて帰路につく自分を既に想像しながら銃を組み立てる。
「さぁーやるどぉー」 と気合満々でゲームに臨むものの、1ゲーム目の結果は悲しく、悔しく、むなしく、耐え忍ぶのが常である。

そして仲間が集まる。

「どうすれば当るのか?」
毎回同じような会話がその日、延々と続く。
耳にタコが出来るとは将にそのことなのだが、
「頬付け・片付け・視線・今日の体調・タイミング・銃の先走り、引きどまり・体の軸・スエー・ベンド・引き金・銃床・弾の種類・今日はクレーの後ろ・下・上・前を撃ってしまう」などなどなーど。
「まぁーこんでええか!」というほど、同じ単語の繰り返しを口にしない日はない。

そして結論はいつも決まっている。

クレー射撃とは、銃を構え、コールし、出たクレーを撃破するという一瞬の間に様々のチェックポイントが多く秘められすぎているのである。
他のスポーツと根本的に違うのは、文字通りこの「一瞬の勝負」なので、これらのチェックポイントを「無意識」にできることが求められるスポーツだということである。
チェックする項目が多いのに時間は一瞬しかなく、それを考えるのでなく、むしろ思考を停止し、いかに飛び出すクレーだけに集中できるかという、この相反することをするのがクレー射撃ではないだろうか。

神経をすり減らし、くたくたになるのに何故夢中になるのかは分からない。
ただ、クレーを撃破したときの筆舌に尽くしがたい快感と銃を撃つというそれ自体のロマンが勝っているというしかない。射台に立つと、みんな西部劇の決闘の1シーンを思わせる目つきに変るのである。そして、いつかは自分が主人公になると信じているのである。

「今日もアカンかった。今度こそ。また来るわ。」自分の実力を思い知らされ、肩を落として帰宅の途につく。

そして玄関を開けると、趣味で遊んできた夫を迎え入れてくれるはずもない現実の家庭が待っているのである。

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Photo by Tatsuya TANAKA & Shinji TANAKA